翔太塾の受講生K.Sさんから感想をいただきました

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翔太塾の受講生K.Sさんから感想をいただきました

◆伊之助みたいにホワホワしてる

 3月のセッションで「貶められ、罵倒される事でしか母親と繋がりを感じられない」とあった。母からの罵詈雑言をエンドレス再生している自分と重なる。「気持ち悪い。そんな自分は醜くて、みっともない、救いようもなくみじめ」

うわー恥ずかしい。消しゴムで消し去ってしまいたい。

はもしょう先生が「数少なくても、温かい繋がりもあったはずなんだよ。だけど蔑みや罵倒の方が強烈にお母さんとの繋がりを感じるんだよね」と。

うん、そう。うちはそこまでじゃなかった。いい事もあったはず…

先月、母が現れ、手作りのお菓子を届けた。雨の晩にいきなり来て「私です」と幽霊みたい。その距離感のなさに文句言っていたのだが、夫がにこやかに受け取り、つられて私もありがとうと言った。

ババロアと崩れた牛乳かんが入っていた。糖質いらねーと思いつつ、あ、このババロア…あのエンゼル型で作ったんだな、と3~40年前、二人でお菓子を作った事が思い浮かんだ。その頃、母は時々お菓子を手作りしてくれた。学校から帰って扉を開けると、こんがりした匂いでテンション上がったこと。学校での事何でも話して、お菓子を食べて、それから遊びに飛び出していた。母はふんふんと受け答えして、今ほど底意地の悪い事は言ってなかった。

 母はいつも「孫ちゃんにと思って…旦那さんも好きでしょ」と言い、必ず「失敗した。美味しくないと思う」と言う。私も「また孫か」と悔しくみじめになったが、何も引っかからなかった。このババロア好きだったなー、少し食べてみるか。美味しかったし、胸がほわっと温かくなった。子どもたちも牛乳かんは嫌がったが、ババロアはぺろっと食べた。これまでありがとうメールを義務感で送っていたが、否定的な返事が来るとわかっている。特にメールせず、受け取った。これでいい、と思った。

その後、引き出しからケーキのロウソクがたくさん入った袋を見つけた。母が終活といって、雛人形や自分の衣類、不用品をどんどん送ってくる。こちらは3人子どもいて、スペースない、片付ける時間もない。こっちで捨てますというと怒るし…

これまで奇妙な習性に戸惑い、毒親あるあるを見て溜飲を下げていた。モヤモヤは消えず、寂しさも感じた。

「ハッピーバースデー、これだけ祝ってもらっていたんだな…」と。兄と合わせた数になるけれど、すぐ数えられないローソク。胸に小さく灯を感じる。その後、ケーキを囲んではにかんでいる私と、ロウソクを吹き消している兄、嬉しそうにカメラを見ている母の写真が蘇った。バースデーケーキを囲んで、幸せな家族。撮影している父もその場にいて、その瞬間、私は確実に愛されていたんだと。ぶわっと胸の奥に温かいものがこみ上げてきた。

父から気のきいた事を言われた覚えはない。イベントで子どもの撮影に回る私には、ファインダーをのぞく父の気持ちがわかる。この瞬間、愛する子どもの幸せな表情を焼き付けておきたいから。

 ローソクはX’masのも混じっていて、成人してから私がお祝いに、と買ったケーキについていたものもある。「子どもじみた事して…」兄や母の反応は冷たく、父は不在だった。それでも、関係ない。ローソクは家族を想う気持ちが詰まっているんだから。

ホールケーキが苦手で、子どもの誕生日にはカットケーキを選ばせていた訳がわかった。温かい思い出を再現したくて、子ども返りして白々しい目を向けられ、裏切られたようなみじめさを感じたくなかった。ハッピーバースデー聞くと、そわそわしてくるのも同じかもしれない。

 他にも、父と魔女宅をみて、キキがお父さんに抱っこされる所でホワっとした事。まだ元気だった父とランチに行く時、病室で向かいのおじさんに「たっくさん、お父さんにわがまま言ってあげて下さいね」と言われて、父がいつもの外面ではなく、にやけていた事。

母が私の部屋にクーラーをつけようと言って、工事が終わり「これで涼しくなったね」とほほ笑んでいた横顔。

 娘と息子が待ち合わせして「私たち、仲良し姉弟!」「うん、そうだね」一緒に帰ってくる。「仲いいねぇ。私はそんな事なかった…」と思いつつ、小3までは下校したら兄とぬいぐるみでずっと遊び、マンガを描いて笑いあっていたなと。忘れたわけじゃなく記憶にあったが、ある日ぬいぐるみ達が捨てられて、兄と二人抜け殻になった方を強く覚えていた。いい大人になってから、ぬいぐるみを集めていた。

一個思い出すと、芋づる式にいい思い出が浮かんでくる。一つ一つは小さいけど、ずっと不幸のどん底人生だったわけじゃない。幸せな時もあった。再確認してはホワホワ。次男の事があって、涙もろくなっている。

 

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